財源に限りのある国におけるがん診療の改善に向けて

がん診療の能力向上を支援する新しい助成プログラム

2017.12.21   |   18:20 JST

世界中で人々の寿命が延びている中、がんの発生率も上昇しています。[i]世界各地でこれに対する医学研究や診療を通じた対策が講じられていますが、財源に限りのある国の中には、がん患者さんの治療に必要な医療システムが十分に整備されていないところもあります。このような国々はアジア、アフリカ、および中南米に広く分布しており、様々な組織・団体が、がん患者さんを対象としたプログラムを提供していますが、依然として問題は解決されていません。例えば、2012年にはアフリカだけで591,000人ががんで亡くなっているのです。[ii]

セルジーン社は、財源に限りのある国におけるがん診療の格差を解決するため、キャンサー・ケア・リンクス(Cancer Care Links™)と呼ばれる助成プログラムを開始しました。このプログラムは、グローバルヘルス部門とコーポレート・レスボンシビリティ部門が共同で進めています。グローバルヘルスおよびコーポレートアフェアーズ・メディカルストラテジー部門シニア・バイス・プレジデントのジョセフ・カマルド(Joseph Camardo, MD)は、このプログラムが世界のがん診療の改善に貢献することを確信している理由を次のように説明しています。

グローバルヘルスおよびコーポレートアフェアーズ・メディカルストラテジー部門のシニア・バイス・プレジデントであるジョセフ・カマルド(Joseph Camardo, MD) width=”320″ height=”480″

財源に限りのある国でがん診療が遅れている理由は何ですか。

「まず言えることは、世界の多くの国では財源に限りがあり、予算の優先順位を争っています。ケニアやウガンダなどの国々では、独自の医療システムを構築する取り組みが進められていますが、HIV、結核、マラリアなど、がんよりも多い疾患に医療資源の多くを割かなければなりません。また、一部の地域では、一般的にがんと診断されることが少ないのです。いろんな理由があります。例えば、がんに関する専門知識が不十分だったり、歴史的に平均余命が短かったり(がんと診断されるのは高齢者が多いですから)。しかし、寿命が延び、意識が高くなって、がんの発見も増えて、がんの罹患率も上がってきました。状況が変わってきています」

キャンサー・ケア・リンクスプログラムはどのような貢献ができるとお考えですか。

「このプログラムでは、がん診療の強化に対する医療機関や地域の取り組みに対して資金を提供します。私たちは、資金提供を通じて、医療機関が医学的なトレーニングや技術を患者さんの診療に生かせるようになることを期待しています。私たちが目指しているのは、がん診療システムの改善を支援することです。診療システムの改善により、治療が容易な早期の段階でがんの診断ができ、遠隔地の医師ががん患者さんを治療のために医療センターに送る体制も整備され、適切ながん治療に対する意識も高くなるのです」

どのような取組みに資金を提供する予定ですか。

「さまざまな分野を検討しています。例えば、医師や看護師、薬剤師を対象とした腫瘍領域のトレーニングプログラムへの資金提供が考えられます。例えば、薬剤の混合や保存の方法、必要量の正確な予測方法についての知識を薬剤師が学ぶことに重点を置いたトレーニングプログラムが挙げられます。がん診療クリニックでの看護師などの診療スタッフ充実にも資金を提供したいと考えています」

「ほかには、がん患者さんに対する総合的な医療サポートも考えられます。多くの患者さんは、がんとの関連性が考えられる感染症をはじめ、別の医療ニーズを抱えているものです。また、がんに関する知識の向上や教育プログラムにも資金を提供したいと思います。発展途上国でがんの発生率が上昇した原因の一つに、喫煙などのリスク因子の増加が挙げられます。したがって、このようなリスク因子を管理するカウンセリングの人たちもプログラムの対象となります」

「これまで様々な組織や団体が、がんの治療薬を寄付してきましたが、治療薬とともに、医療システムを強化する取り組みも不可欠であることが広く認識されています。私たちの助成プログラムは、そこに重点を置いています」

プログラムではどのような助成を行いますか?

「まず、がん診療センターに100,000ドルの助成金を提供します。その後は年1回、プログラムの進捗状況と効果を考慮しながら繰り返し助成を行います。パートナー関係を築き、一定のがん診療能力を構築している診療センターに資金提供することを目指しています。パートナーはすでにいるが、さらに資金を必要としている既存の医療機関を強化できることを期待しています」

がん診療はセルジーン社の専門領域であり、
がん領域で独自性を発揮するチャンスがあります

プログラムの達成目標を教えてください。

「私たちのプログラムによって、継続的なトレーニングプログラムや生存率の向上など、持続可能な変化がもたらされることを期待しています。例えば、転移性乳がんの患者さんは5年生存率が米国では90%ですが、ガンビア共和国ではわずか11%です。[iii] [iv] 私たちのプログラムが、がん診療の改善に貢献することができれば、私たちが資金を提供した診療センターが、現地の政府やその他の組織や団体からも助成対象となるかもしれません」

このプログラムには、セルジーン社のこれまでの取組みがどのように生かされていますか。

「グローバルヘルスおよび企業の責任に関するセルジーン社の取り組みの一環として、当社はすでにAMPATH(Academic Model Providing Access To Healthcare)との協力を通じてケニアのがん診療を支援しています。また、バイオ製薬会社とその他の協力パートナーのコンソーシアムであるAccess Acceleratedと連携して、低所得国および中所得国において、特にがんなど、非感染性疾患治療へのアクセスに対する障壁を取り除くことができるように支援しています」

「がん診療はセルジーン社の専門領域であり、がん領域で独自性を発揮するチャンスがあります。当社の知見や資金を活用し、財源に限りのある国におけるがん診療の改善に向けて協力していきます」



[i] Torre Lindsey A., Bray Freddie, Siegel Rebecca L., Ferlay Jacques, Lortet-Tieulent Joannie, Jemal Ahmedin. Global cancer statistics, 2012. CA: a cancer journal for clinicians. 2015;65:87-108.http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.3322/caac.21262/full


[ii] Parkin D. Maxwell, Bray Freddie, Ferlay Jacques, Jemal Ahmedin. Cancer in Africa 2012 Cancer Epidemiology and Prevention Biomarkers. 2014;23:953-966. http://cebp.aacrjournals.org/content/23/6/953.long


[iii] Cancer Stat Facts: Female Breast Cancer. National Cancer Institute. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/breast.html Accessed November 2017.


[iv] Gambia Cancer Institute. http://afcrn.org/membership/membership-list/104-gambia Accessed November 2017.

この資料は、セルジーン社のホームページを日本語に翻訳(要約)、編集したものです。
英語版はhttps://www.celgene.com/をご参照下さい。